受け継いだ小さなサロード
写真は、ディプトニル・バッタチャルジー 3歳の時。
この小さなサロードは、その昔 ウスタッド・アリ・アクバル・カーン(※1)の実際に使っていたという楽器です。
ディプトニルの父が、彼の師匠であり、アリ・アクバル・カーンを父に持つProf.ダネーシュ・カーン(※2)から引き継いだものです。
この楽器は、今でもディプトニルの家にあるそうです。
どうやって私がアリ・アクバル・カーンの弟子になったのか?
by Dwiptanil Bhattacharjee
(ディプトニル1歳半の時)
私の父(Ashim Battacharjee)はかつて、ウスタッド・アリ・アクバル・カーンの息子であった故・ ダネーシュ・カーン教授に、サロードのレッスンを受けていました。
そのとき私は単なる子供に過ぎず、父の練習の邪魔をすることがほとんど私の習慣になっていました。
私の父は、どうしたら良いか、師であるダネーシュ教授にそのことを相談しました。そのとき「この子はサロードの音に魅かれていて、この楽器に興味を持っているようだ。」ということに気づいた彼は、小さなサロードを私に送ってくれたのです。そして彼は、私が5歳になったら、師弟の儀式を交わして教えたいと言ってくれました。
しかし、その年彼は亡くなってしまったのです。彼の妹は、このことを父であるアリ・アクバル・カーンに伝えました。
そして私がいよいよ5歳になった時、私は師弟の儀式において、ウスタッド・アリ・アクバル・カーンからその証である”ガンダ”と呼ばれる紐を授かり、教えを受け始めることになったのです。
(※1)ウスタッド・アリ・アクバル・カーン [1922-2009]
20世紀に活躍した偉大な音楽家。演奏家、作曲家、教育者として、現在のインド音楽の発展に多大な貢献をした。アメリカに初めてサロードを紹介した演奏家であるばかりでなく、1967年にカリフォルニアにアリ・アクバル音楽大学を創設し、以後40年に渡り教育活動にも献身した。
”音楽の父”とも言われる、マイハール流派の創設者 ウスタッド・アラウッディン・カーンの後継者。演奏形式や楽器そのものを大きく改革した アラウッディン・カーンは、ラヴィ・シャンカールをはじめ、多くの演奏家を育てた。
インド独立前後と宮廷の盛衰を知る数少ない音楽家で、最後の宮廷音楽家とも言われている。
(※2)Prof. ダネーシュ・カーン [1941-1990]
ウスタッド・アラウッディン・カーンを祖父に、ウスタッド・アリ・アクバル・カーンを父に持つ音楽一家に生まれ、演奏家、作曲家、教育者として活躍。
サロード奏者として著名な音楽フェスティバルのほとんど全てに出演し、また、ロイヤル・アルバート・ホール(ロンドン)で演奏するなど、多数の海外ツアーをこなした。
アリ・アクバル音楽大学やロビンドラ・バラティ大学で、教育者としても多大な貢献をした。
サロードとアリ・アクバル・カーン、マイハール流派について
▽2016年9月22日(木祝)-マスミ公演-
【出演】ディプトニル・バッタチャルジー(サロード)
指原一登(タブラ)
【時間】開場 14:30 開演 15:00
【場所】マスミ スペースMURO・大塚 東京都豊島区巣鴨4丁目5-2
【料金】予約 3000円 当日 3500円 ペア 5000円(2名様料金 要予約)
【予約・問合】ご予約・お問い合わせ: mail@kazutosashihara.com 090-4201-6885(さしはら)
来日オフィシャルサイト: dwiptanilbhattacharjee-japantour.tumblr.com
ディプトニル・バッタチャルジー:サロード奏者
1990年生まれ。インド、コルカタ出身。音楽家の家庭に生まれる。
幼少より著名なサロード奏者Prof. Dhyanesh Khanの弟子である父Sri Ashim Bhattacharjeeにサロードを習い始める。最年少で、現代インド音楽を形作った最も有名なインド音楽家、故Ud. Ali Akbar Khanの弟子になる 。
現在もUd. Ali Akbar Khanの長男であるサロードの巨匠Ud. Aashish Khan、娘Smt.Ameena Perera、Sri Alam Khan、各氏のもとで研鑽を積んでいる。
スールナンダン・バラティからスールマニ賞を受賞。オールインディアレディオにゲストパフォーマーとして出演。Ud. Aashish Khanとも共演するなどインド国内を中心に精力的に演奏活動をしている。今後の更なる活躍が期待される若手演奏家。2016年9月初来日公演。
https://www.facebook.com/dwiptanil